0069 地理空間情報課の3D計測

2017.07.24

カテゴリー: 活動報告

みなさん3Dと言う言葉を聞いたことがありますよね。

3Dとはthree-dimensions。つまり3次元の略で、3Dテレビや3Dコピーなど、物事を立体的に見る・把握する技術が急速に普及しています。

 

弊社・相愛が携わっている地質調査の世界でも測量データの3D化が急速に進み、行政から発注される公共測量においても、AVやレーザースキャナーなどの3D計測機器の使用が認められるなど、そのニーズは高まるばかりです。

 

これらニーズの高まりを得て、相愛では今年4月に地理空間情報課を立ち上げ、各種3D計測機器を購入。専門スタッフを配置してトレーニングを積み、着々と3D計測のスキルを磨きつつあります。

 

今回のお仕事紹介ブログは、新設した地理空間情報課の取り組みをご紹介していきます。

まずは、3D計測機器のご紹介。

俗称としてドローンと呼ばれていますが、専門的にはUAV(Unmanned aerial vehicle)。無人航空機と言います。

相愛では、昨年業界の高まるニーズを察知し、ファントム3(Phantom3)という機種を購入。トレーニングや現場活用の頻度を見越して、今年になり上位機種のファントム4(Phantom4)という機種も購入しました。

空から撮影中のファントム4

相愛本社社屋・敷地を上空から撮影した写真です。

 

このようにUAVは、地形や建物の状態を普段見えない上空から撮影することができる機器。

 

地質調査はじめ建設関連業以外でも、観光PRのための動画を撮影したり、相愛でも毎年運営しているスポーツイベントの空撮を行ったりと、地域振興系の業務での活用も念頭に入れ活用を開始いたしました。

ファントム4の撮影画像をソフトを使って3D化するとこのようなデータが得られます。

さらにごっついUAVマトリス600(Matrice600)

 

見てもわかるように機体が大きくプロペラも大きいマトリス600という機種。

飛行の安定性、風圧への対抗力、留まる力が強く、搭載重量も10kgまで可能なため、一眼レフなどファントムよりも性能のいいカメラが搭載できます。

空から計測中のマトリス600

後から出てきますが、土佐山運動広場を上空から撮影した写真です。

一見、ファントムで撮った写真と変わらないように見えますが、

100mの高さから撮影した対空標識。左がファントム、右がマトリスで撮影。

その精度が一目瞭然です。

 

同じ100mの高さから撮影すると、マトリスは1~2cmの石ころまで確認できますが、ファントムでは4cm程度の大きさにならないと識別できません。

 

地理空間情報課/主任・篠原貴紀

「機動力ならファントム、精度ではマトリスというように使い分けを念頭に必要な機器を揃えました。

例えば同じ災害現場を調査するにおいても、現場までの持ち運びなどを含めて、機動性の良いファントムを先に飛ばして、全体の概況を可視化して、さらに詳細なデータとる場合はマトリスを飛ばして計測するなどそれぞれの強みを生かした使用法が考えられます」。

測量だけでなく様々な用途に活用すべく、いろいろな部署のスタッフがその仕組みなどについて学び、トレーニングを積んでいます。

 

UAVの他にもう一つ購入した3D測定器が、

地上型レーザースキャナーVZ-400i

 

こちらは略してTLS(Terrestrial Laser Scanner)。地上型レーザースキャナーと呼んでいます。

文字通りレーザースキャナーですので、レーザーを照射して形状を立体的に捉えます。レーザーは木の葉の隙間なども抜けて目標物まで当てることができるため、カメラを使った写真測量より細かなポイントまで計測が可能になります。

 

6月の納品に合わせて、仕様確認も含め相愛の敷地・社屋のレーザースキャンを行いました。

納品のようす。高額商品を前に身の引き締まる一同。

使用方法などレクチャーを受けました。

試しに弊社・レストホールを屋内からスキャン。

屋内から撮っても、まるで上から撮影したかのような3Dデータができます。

今日のめあてである相愛社屋・敷地のスキャンを行います。

まずは敷地下からレーザースキャン。周囲を360度回転して撮影。

たくさんの樹木の3Dデータができました。

上のカメラは、データに色付けするために撮ります。こちらも360度。

木々に色がつきました。

社屋の下からもレーザースキャン。やじうまがたくさん集まってきました。

画像解析中。

2地点からのTLSのスキャンデータを合わせると、こういう点群データが

できあがりました。手前が敷地の森林、奥が本社社屋。高精度です。

 

ここまで空から撮影するUAVと、地上から撮影するTLSの説明をしてきましたが、どうして、空からと下からと2種類の測定器が必要になるのか?

お気づきのみなさん、すばらしい。話の流れについて来てますね。

 

UAVは上からの撮影のためオーバーハングした地形などが死角になります。逆にTLSは地上からのため高いところが死角になりデータの収集ができません。2種の機器を使用することで、お互いの死角を補い合うことができるのですね~。

 

後日、日頃トレーニングを積んでいる土佐山運動広場にて、UAVとTLSの2種類の計測器を活用して、地形の撮影、スキャニングを行いました。

まずはUAVで空から撮影。

続いてTLSで地上からレーザースキャン。人間が写りこまないように、スキャンの回転に合わせて逃げてます。

UAVだけだと、上から写りこまないポイント(白く抜けている部分)のデータが拾えていません。

逆にTLSだけだと、下から写りこまないポイント(黒い部分)のデータが拾えません。

※欠損がわかりやすいようにTLSでスキャンしたデータをコンピュータグラフィックで上から俯瞰した絵。

二つのデータを合わせ(欠損部分が補完され)、土佐山運動広場の法面3Dデータが完成しました!

 

篠原

「3Dデータ計測については、まずは現在相愛が取り組んでいる地質調査、アンカーメンテナンス、災害情報収集などをメインに実績を積んでいきます。

ゆくゆくは道路、橋梁などの社会インフラ、河川、砂防などの地形測量や高知城他歴史的建造物のアーカイブデータとしての活用も考えられます。

山を撮影すれば、どこにどんな木が生えているのか、森林の材積計測などが把握でき森林計画にも使えます。

 

他にもゲームソフトでは、実際のゴルフコースと同じバーチャルなコースでプレイするソフトなども出ています。

これも実際のコースを3D化することで実現できたことです。

カーナビの3D化も急速に進んでいます。

これからも、さまざまな分野に活用が広がっていくことと思われます」。

 

いかがでしたでしょうか?

相愛・地理空間情報課の取り組み。

地質調査、測量のみならず、さまざまな分野への活用が期待される3Dデータ計測。弊社・相愛、機器を揃えトレーニングを積んで、業務への適用を開始いたしました。

ご要望などありましたら、ぜひお気軽にお声がけください。

地理空間情報課・篠原(左)、山本。「よろしくお願いします~」。