0006 エコ肥料で循環型社会を目指す vol.1
相愛には、志を同じくしてこれからの循環型社会の構築を目指すグループ会社が2つあります。
一つが、これから宿毛市で木質バイオマスを燃料とする発電事業と木質ペレットの製造事業を行うべく準備をすすめている株式会社グリーン・エネルギー研究所。
そしてもう一つが、今回ブログで取り上げる株式会社エコデザイン研究所です。
エコデザイン研究所外観。高知市土佐山弘瀬、円行寺を上った山の頂にあります。梅雨真っ只中のこの日は霧に包まれていました。
そもそもエコデザイン研究所の創立は10年前、2003年の5月21日。
そう、ちょうど今年で10年目のアニバーサリーを迎えます。
そんなめでたい年の心境をも含め、取締役の横山貴志さんにお話をお伺いしました。
エコデザイン研究所・横山貴志取締役。
2001年相愛入社、2年間勤務の後、現相愛会長・永野正展に「事業を立ち上げるのに人がいる。やってみんか?」と軽く頼まれ茨の道に…もとい、エコデザイン研究所の設立にまい進。
立田晴久社長と手を取り合い、様々な苦労を乗り越えて経営を安定化させる。
現在は、製品「かんとりースーパー」の肥料としての質の高さを広めるべく東奔西走中。
-今日はよろしくお願いします。
横)お願いします。
-まずエコデザイン研究所の事業内容を簡潔に教えてもらえますか?
横)有機廃棄物を肥料化する事業を行っています。
-すみません。ちょっと簡潔すぎです。
横)失礼しました。私たち人間が暮らしていく上でさまざまなゴミが出ますよね。
その中には有機廃棄物と言って、消費期限が切れて廃棄される食品や食品・下水・し尿の汚泥など、処理すれば肥料として再利用できるものがあります。
エコデザイン研究所ではそれらを引き取って菌の力で発酵させ、野菜や花や木を育てるための肥料を製造しているのです。
-わかりました。そもそもなんでエコデザイン研究所を立ち上げよう、ということになったのでしょうか?
横)そうですね。そもそも自然界では循環型の世界が築かれています。
植物も動物も、そして人間も、腐る物つまり有機物はすべて自然のサイクルの中で土に変わってきました。
特に島国・日本では、古くから限られた土地で生きていくため、有機廃棄物のリサイクルが根付いていました。
人糞が肥料として畑に利用されてきたことは、皆さんご存知だと思います。
しかし、化学肥料が普及したことと衛生上の観点から、戦後、廃棄物の焼却処分が主流になりました。
高知県においても処分方法は焼却が主で、有機廃棄物を分別してリサイクルできるところは、ほとんどありませんでした。
焼却処分すれば、ゴミはすぐに目の前から消えてしまいますが、温室効果ガスである二酸化炭素を発生させる問題や、
水分の多い有機廃棄物を燃やす際には重油を足して焚くこともあるなど、環境への負荷は大きいのです。
また、焼却炉等の設備に莫大な費用が使われてきたのも事実です。
公共の焼却施設の場合、我々の税金が使われています。
これらの課題を解決して、できた肥料を農業にいかしていくことで資源循環を目指していこうとして立ち上がったのが、弊社・エコデザイン研究所です。
燃やして処分すべきものもたくさんあると思いますが、燃やさないでも済むものは、できるだけ環境にやさしい形で自然に返していこうと考えています。
様々な資料をひも解き熱く語る横山さん。
資源循環にかける強い意気込みが感じられます。
-一転して長文でのご回答ありがとうございました。
熱意がひしひしと感じられます。スケールが壮大ですね。
横)相愛です(笑)。
-ありがとうございます。
まったく新しい事業となると、いろいろなご苦労があったと思いますが?
横)そうですね。原料つまり有機廃棄物を集めるのに時間がかかり、肥料の完成が大幅に遅れました。
肥料を作るためには一定量の原料を確保しなければなりません。
肥料化についてはゴミの仕分けなど手間のかかる部分が多く、原料を持ち込まれる業者様や運搬業者様など、多くの方々のご理解とご協力が必要となります。
その点をご説明させていただき、ご理解いただくまでには、いろいろな苦労はありましたね。
でも、できたばっかりのよちよち歩きの会社なのに、多くの皆様に手を差し伸べてもらい、育てていただきました。
そしてありがたいことに、多くの原料が集まり高い品質の肥料ができあがりました。
-できあがりましたか。
横)できあがりました。創立6年目にしてやっと。
ただ販売はまだまだこれからです。なので、このブログでドバーンと!
-了解しました。そのためにももうちょっと掘り下げましょう。
横)ダイアモンドの原石を掘り起こしてください。
-あ、ちなみに肥料の商品名は何と?
横)かんとりースーパー・エコデザインミックス! でございます。
みんなの努力が結実し、創立6年目にして完成したかんとりースーパー・エコデザインミックス15kg袋。
かわいくもどっしりとした新芽のデザインが印象的なパッケージです。
-強そうな名前ですね。
横)雄大な名前ともいえます。
原料にこれだけいろいろなものを使っているところも少ないので、「ミックス」を入れました。
-そのミックスされたいろいろな原料とは、どんなものですか?
横)はい、今日もたくさんのトラックが来ていますが、スーパーで売れ残った野菜やお惣菜、養殖廃棄魚、そして食品工場(乳製品、肉、豆腐、酒、菓子、魚製品等の加工場)の廃棄物、下水処理場、し尿処理場から出される汚泥が主な原料です。
野菜や果物、食品は、消費期限が切れて販売できなくなったもの、野菜の切れ端等が入ってきています。
スーパーから持ち込まれる販売できなくなった野菜や食品。
これらも肥料の原料として有効活用します。
-どうやって製造しているのですか?
横)搬入された原料に菌を混ぜて発酵を促します。
数回切り返し(かき混ぜ)を行い約45日で完熟肥料に仕上がります。
その後、ふるい機に通して固形物を取り除き、袋に詰めて完成です。
発酵温度が90度以上に上がるため、種子や雑菌が死滅してクリーンな肥料ができあがるのが特徴です。
原料と菌を混ぜ合わせ、撹拌して発酵を促す発酵棟内部。
ホイールローダーでガシガシ切り替えして発酵を促します。
-下水道の汚泥が入っていますが、肥料の成分に有害なものは入ってないのですか?
横)春と秋の年2回検査をして、カドミウム、クロム、ヒ素など有害物質の残留をチェックしています。
下水処理場においても重金属等について定期的な検査が行われていますが、これまで一度も基準値を超えたことはありません。
事業開始前にも下水汚泥につていの堆肥化実証実験を行い、重金属類の含有についての第三者によるチェックをかけました。
問題がないことを確認した上で事業を開始しております。
念には念を入れて対応させていただいています。
-なるほど、2重3重のチェックですね。
横)逆に言えば、現代の人間社会がいかに自然じゃないものを使っているか、ということの証明なのかもしれません。
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化学物質など自然界に存在しない物質が紛れ込む、モノにあふれた我々の人間社会。
有機廃棄物のリサイクルも一筋縄ではいかない現実が見えてきました。
資源の循環を目指すみんなの努力が実を結び、6年目にして完成した肥料・かんとりースーパー。
次回vol.2では、その効き目・使用感などについてしっかりと掘り下げていきたいと思います。
なんとびっくりなキャンペーン企画も飛び出しそうな予感。
後編にこうご期待!
循環型社会の未来を切り開く肥料・かんとりースーパーの詳細・お問い合わせは、エコデザイン研究所のホームページから。
~つづく~