0003 水資源調査という仕事

2013.06.12

カテゴリー: 活動報告
タグ: 水質源調査

あじさいがかわいく咲く集落の片隅でやおらうなだれる相愛スタッフ2名。

一人はワカサギ釣りのような格好で筒に糸を垂らし、もう一人は黙々とメモを取る。あたりは静寂。

一方、筒からはい伸びた管はポンプを経由し、大きく蛇行して…

終着点で待ち受ける鉄製の四角い箱に注がる。
さらに三角の穴よりよどみなく溢出す豊饒な水、また水。

 

さて! いったいこれは何の作業でしょうか?
ここまででわかった方はよっぽどの事情通。
今度相愛の入社面接を受けに来てください。

 

はい、冗談はさておき、というかタイトルで答えが出てましたね。
そう、これは水資源調査というお仕事。
今回は中土佐町・小矢井賀地区の地下水の水量調査にやってきました。

 

もともとこの集落は水源が地下水しかないためくみ上げポンプがひとつ設置され使用されてきましたが、万が一の故障時には、復旧に半日以上かかるためポンプの増設が検討されていました。

 

そこで新たに地下水の所在を予測し、地面をボーリングして(つまり穴を掘って)出てきた地下水の水質と水量を測定。
飲料・生活用水として使用可能かどうかを調べることに。
その中でもこの日は水量の調査を行いました。

地中にのびる管(スクリーン管というのだよ)を上から見たところ。

 

もともとこの辺りは地下水が豊富にあることがわかっていたので、適度な場所を地下20mまでボーリング。
その結果、地上から3m60cm~12mのあたりまでが砂礫(されき)という水を通しやすい地層だということがわかりました。

だいたいこんな感じの水を通しやすい地層に、しみしみと地下水が流れる。
地下水と聞いて、洞窟の中を流れる川を想像してた人、補習です!

 

で、この日行っていたのが、
①地下水をくみ上げても地下水位は安定しているか否か
②予定使用量以上の水量が安定的にくみ上げられるか否か
の2つの調査。

 

まず①の解説から行いますと
2枚目の写真のワカサギ釣りの人が持っているのが専用のメジャー。
掘った穴にどんどん突っ込んでいくと、先端のセンサーが水を感知したところで音が鳴り、光を放って合図するしくみ。
もう一名がその距離を時間ごとに記入していきます。

水面が地上から何メーター下にあるかを計る専用メジャー。
1分、3分、5分、10分、20分、30分~と時間を区切って長時間計測していきます。
この日計った地下水の水位は、地下5m91cm~92cmで安定。
地下水脈の容量に問題はなさそうです。

 

続いて②の解説にまいりますと、上から4枚目の写真に写っている鉄製の箱、これがノッチといいまして、供給可能水量を計るための専用の装置。

 

何をしているのかというと、この三角の穴。これがミソでして、ここから溢れ出す水の容積を1分、3分、5分、10分、以下同文~と、これまた時間を区切って計測しているのです。

溢れ出す水の高さを三角形の頂点から計測。
数値は9.3cmで安定。都合、毎分220ℓの水がここから安定的に流れ出していることがわかります。

 

小矢井賀地区の水道で使われる必要水量の基準は毎分110ℓ。
この2倍の水が安定的に供給できているので、こちらの試験もパス。
この日の調査結果により小矢井賀地区の地下水量は、集落の水道水として使用しても問題なし、という結果になりました。

集落の脇を流れるか細い流れの小矢井賀川。この川が地下水脈の水源。
川面が地上から3mなので、その約3m下に地下水がろうろうと流れていることになります。ちなみに地下水の流速は予測で1日10~15m。
最終的には海底にまでつながる 砂礫の層を伝ってしずしずと流れ、海中に注ぎ込んでいるのです。

 

雨が降り、川となって地表面を流れる水、
地中にしみ込み地下水となる水、
それらは相互に影響しあいながら海に注ぎ、

蒸発して雲となり、また雨となって降り注ぐ…。
太古より地球の上で繰り返されてきた、
壮大なる水循環の仕組み。

 

今回ご紹介した水資源調査も、この水循環の仕組みを理解し、自然環境への影響などをトータルに考察できなれければ務まらない仕事。
相愛でも古くから水資源調査に取り組み、工業用水、農業用水、生活用水などの開発・調査・分析に励んでまいりました。
地下水利用のこと、水量・水質検査のことでご検討中の案件などありましたら、どうぞお気軽にお問合せください。

相愛歴30有余年、水資源調査のプロフェッショナル藤岡(左)と、入社1年目にして奮闘中の濱口。

「水資源関連の調査はなんでもお任せください」。