0031 台風12号土砂災害・復旧調査

2014.09.16

カテゴリー: 活動報告

本日の現場は、高知市から土佐町へと抜ける基幹道路である高知本山線県道16号の土砂災害復旧のための調査。

8月初旬に高知県に大量の雨をもたらした台風12号による土砂災害現場です。

 

この土砂災害による県道の断線により、工石山青少年で研修を受けていた子どもたち78人が一時孤立。全国的なニュースにもなりました。

 

災害から約1カ月が経ちますが、状況がひどく県道16号線はいまだ全面開通には至っておりません。

閑静な山道を登っていくと突然現れました。

植えられていた木もろとも、 山頂部から谷間まで一気に滑り落ちています。

道路上の土砂は撤去した後ですが、山の斜面には大量の土砂が流れ落ちたままの状態。

県道から上部を望む。道路の擁壁も破壊され、土砂と一緒に流されています。

県道から下部。土砂は谷を流れる鏡川上流部まで到達しています。

電柱もなぎ倒されています。

大量の生木も流れ落ちたまま。

巨大な転石も斜面で止まったまま。

防護ネットも見るも無残な姿に。

川には大量の土砂が積もり、巨大な岩石が転がっています。

 

改めて自然の圧倒的な力を思い知らされる甚大な被害。

人間が通した道路という造形物が、ほんのちっぽけな存在に見えてしまいます。

現場にはワイヤーセンサーを設置。再度土砂が動いたら警報が鳴る仕組みで、現場の作業員の安全を確保します。

 

この日は、この県道16号線を復旧させるための、現地踏査と測量を行いました。

土砂崩れの様子を細かく調査する弊社技術士・松田(左)と市橋。

基盤岩がどこにあるか、慎重に踏査を進めます。

 

この現場では、最終的に道路を再整備する際、路肩に擁壁を築くことが最適だと判断されました。

その場合、擁壁の基礎部分は基盤となる岩盤に固定しなければなりません。

そのためには踏査で状況を把握・推測した後、ポイントとなる箇所を推し量り、ボーリング調査によって、実際に基盤岩が何メートル下にあるのかを突き止める必要があります。

土砂の流れ、転石の具合を観察し、基盤岩の位置を確認していきます。

 

2人のベテラン技術士。数十年に渡るこれまでのキャリアで、数々の土砂災害現場を踏査してきました。

精度の高い状況把握には、この豊かな経験に裏打ちされた確かな観察力・センスが要求されます。

細部の状況まで逃さず調査していきます。

1本目のボーリングの位置が決まりました。ポールの下の赤丸のポイントです。

2本目のボーリング地点はこちらに決まりました。

この2本のボーリングで不明な基盤岩の位置・深さを突き止めます。

応急復旧案として仮橋を架設する際の場所、長さ等も検討します。

このような地点に鋼製の仮橋を架ける計画を練りました。

 

この現地踏査と同時に作業をすすめたのが地形測量。

道路を中心に、道路に影響を及ぼしかねない周辺の状況をくまなく測量し、図面に落とし込んでいきます。

こちらも復旧工事のための現状把握には欠かせない作業。

一人が測距機(トータルステーション)を操作し、もう一人がミラースタッフと呼ばれる大きな定規のようなものを持って移動。任意のポイントで測距機から光を放ち、ミラースタッフに反射させて、距離と高さを計測していきます。

今回は全体で500点程度の測量になりました。

光を当てて反射させて計測します。

測量機を操る弊社・茨木測量技師。同じく測量技師の有光とペアを組み様々な地形を測り続けてきました。

有光測量技師、道なき道をかき分け進みミラースタッフを立てます。

 

最終的に図面に落とし込むことを考え、どういう順序で計測を行うかなど的確に判断しながら計測する必要があるこの作業、2人の技師のパートナーシップ・あうんの呼吸が、作業効率を上げ完成度の高さを生み出します。

点と点を結び、面的な図に仕上げていきます。

こちらは事前に測量に入り仕上げた道路部分の図面。

 

地形測量の他に、山の断面が現状どういう状況にあるのか横断測量も行います。

できあがったデータを元に、どの部分を削って、どの部分をならすのか等の検討が加えられ、道路復旧のための設計計画が作られていきます。

道路を中心に上下の斜面を計測する横断測量のスタート。

測量を行う地点は、さきほどの現地踏査スタッフが判断して決定します。

どこからどこまでに転石があるか等、地面の状態を細かく伝達しながら、斜面を直線的に移動してミラースタッフを立てます。

大きな岩の陰に隠れても、ミラースタッフを伸ばして計測。

上部も計ります。直線的な測量の為、このポイントが終われば次はこの上が測量ポイント。

当然まっすぐ上がれないので、後ろの岩を回り込んで回避し、登ります。体力のいるきつい作業です。

中心崩落部分は川の手前まで測量を行いました。

 

台風12号と、その後上陸した台風11号による高知県内の被害は数多く、ひと月以上が経過した現在でも県民のライフライン等に深い爪痕を残しています。

 

相愛にも県内各所から依頼が入り、職員一同、自治体や地域の皆さんと一丸となって、この局面に対応させていただいております。

自社の持つ経験と技術をいかし、一刻も早い復旧を目指して尽力し続けていきます。

 

頑張りましょう!