0051 斜面を測れ!土砂災害防止法・基礎調査

2015.12.02

カテゴリー: 活動報告

昨年(平成26年)8月に広島市で発生した土砂災害は、記憶に新しい方も多いと思います。

この災害は死者74人、重軽傷者44人の人的被害および、家屋の全壊132軒、半壊122軒の甚大な被害を地域にもたらしました。このことがきっかけとなり、現在全国的に急ピッチで進められているのが、平成13年から着手が始まった土砂災害防止法の基礎調査です。

急傾斜地の土砂災害被害。

土砂災害防止法(平成13年施工)では、土砂災害から住民の生命を守るため、土砂災害が発生する可能性のある区域を基礎調査によって明らかにし、「土砂災害警戒区域」とより危険度の高い「土砂災害特別警戒区域」の区域指定を行うこと。

さらに「警戒区域」においては、ハザードマップの作成・配布などによる危険性の周知・警戒避難体制の整備などを行い、「特別警戒区域」においては、住宅の新規立地の抑制や、融資等の支援を含む既存住宅の移転促進などを推進することと定められています。

 

本年相愛が担当させていただいているのが、まさに上記基礎調査の部分なのですが、土砂災害の種類には、①急傾斜地の崩壊、②土石流、③地すべりの3種類があり、それぞれ基礎調査の測定ルールが異なります。

今年のお仕事紹介ブログでは、相愛が幡多地域において行っている①急傾斜地の崩壊・基礎調査についてレポートさせていただきます。

急傾斜地における特別警戒区域と警戒区域の設定概念図。

今回の調査では、設定の肝になる急傾斜地(傾斜度30度以上で、高さ5m以上)のあるなしを調査して周り、上図のルールに基づき警戒区域の範囲を確認していきます。

こちらが航空写真などからの測定を元に区域分けを行った基本データ「机上設定」。

「警戒区域」を黄色で区分けしてあります。この仮のデータに現地踏査を行い修正を加えていきます。

今回基礎調査を行う若手コンビ、篠原(右)と岡野。社員旅行では大ハッスルでした。

一カ所目、傾斜角度30度は一目瞭然。高さを確認します。5mあるようです。

コンクリートの壁面も調査対象。

ここは5mありません。警戒区域外となり確認用の写真撮影を行います。ちなみに5mあった場合も確認用の撮影を行います。

机上設定に記された住宅の存在を確認する岡野。余計なことだがちょっと目が近い。

家の裏の傾斜地を測量する際には、居住者の許可をとります。

またしても岡野、目が近い。

入り組んだ斜面に出くわしました。右側面は角度の急な傾斜地、左前方もまた別の傾斜地。警戒区域の線引きが複雑になってきます。

一つひとつ測定し、確認用の写真を残していきます。

傾斜角度も測定していきます。

 

何箇所か測定を行ううち、地形が複雑に入り組んでいるせいか、急傾斜地とされているところの傾斜角度が実はゆるやかであったり、ノーマークのところが実は急傾斜地であったりと、航空写真をもとにした机上設定と実際の状況がかなり異なっている事が判明。それによって、「警戒区域」の線引きも修正が必要となり、予想以上に時間がかかり始めました。やはり百聞は一見に如かずです。

草木で覆われ傾斜が測りづらいところも多々あります。

獣道も踏み分けて進みます。

「篠原君いい眺めだね~」。「いやそれどころじゃない」。

主担当の篠原、机上設定と睨めっこが続きます。

この地点はアングル的に急傾斜地でないことの証明が難しく、写真を何度も撮り直しました。

家の裏に迫る急傾斜地。確認用の写真撮影が続きます。

コンクリートの壁面もよじ登って確認用の写真撮影。

ご先祖様に失礼して墓地の斜面も写真撮影。

机上設定では急傾斜地となっている地点。高さの怪しいところは、測定用の双眼鏡で覗いて調査します。

5mにたらず警戒区域外となりました。同様にスタッフを立てて撮影を行います。

ここも机上設定では急傾斜地となっている地点。行ってみると家の壁面でした。

段々になっているところは奥行も測り、机上設定と照らし合わせます。

この斜面は机上設定では5mの高さと認識されていましたが、実際は3段に分かれた斜面でした。警戒区域外となります。

擁壁のクラックを発見。基礎調査の内容ではありませんが、地質調査会社として見逃すわけには行きません。報告用の撮影を行います。

こっちもあっちも急傾斜地。実際の地形は複雑です。

ああでもない、こうでもないと机上設定と首っ引きの2人。しつこく入念に調査を行います。

この地域で調査せねばならないポイント(側線)は80箇所近くあります。

午前中に終わらせて次の地域に回る予定でしたが、実際の地形が入り組んでいて午後も引き続きこの地域を周ることになりました。

午後からは急傾斜地の上端と下端の位置を確認する作業を続けました。

 

以上、作業的に以下同文なのでこの辺でおきますが、いかがでしたでしょうか、土砂災害防止法基礎調査。

高知県下にこのような要調査地域が18000箇所あり、現在、高知県および関係各社総力を上げて調査を進めている状況です。

 

本調査が終わりましたら、自治体での最終確認を経て、各家庭にそれぞれの市町村からハザードマップが届きますので、ぜひ、お住まいやお子さんの通う学校、勤務先等の状況をご確認いただければと思います。

県民一丸となって、土砂災害被害に備えましょう!

土砂災害防止法・基礎調査は、弊社・相愛にお任せ下さい。